【虎豆】とらまめ
マメ科 インゲンマメ属 インゲンマメ種 サイズ:実の長辺 約12〜15㎜
- 主な用途 :
- 煮豆、スープ、サラダ、短時間の煮込み、和菓子など
明治時代にアメリカからやって来た豆
真っ白で玉子型をしたインゲン豆に、肌色とエンジ色のまだら模様。その表情が、虎のもようと似ていることから「虎豆」という名が付けられました。明治時代にアメリカ・マサチューセッツ州のコンコードから入ってきたとされています。導入当時は「コンコード・ポール」という品種でした。虎豆は主に北海道で栽培され、特に胆振や北見地方で多く栽培されています。日本に伝わって「改良虎豆」「福虎豆」などの新たな品種も登場。現在のほっこりホクホクとおいしい虎豆になりました。
煮豆の王様
虎豆が「煮豆の王様」と呼ばれる由縁は、煮豆にしたときの万人に愛されるおいしさに由来します。特に豆を苦手とする人は、薄皮が口の中に残ることを好まない人が多いようですが、虎豆は表皮が薄く、煮豆にして皮と中身が分離してもイヤな残り方をしません。また、何も味をつけない水煮状態のものを口にしてみると、自然のままの豆の風味とスッキリとした甘さを感じます。その食味の良さが年配の方や男性にも好まれています。
北海道で煮豆と言えば、ふっくらとおいしい虎豆の煮豆のことを指すそうです。虎豆は皮が薄いので煮くずれることもありますが、デンプン質の煮くずれたところにも、味がしみておいしいのです。乾燥豆のとき表面に見られるあの愛らしい虎もようは、残念ながら豆をもどすために水浸けすると薄くなり、茹でると更に薄くなってしまいます。虎豆のもようを残したいときは、蒸すほうが茹でるよりキレイに残せます。
もよう入りのいんげん豆の仲間たち
いんげん豆の仲間である虎豆は、タンパク質や食物繊維、ビタミンB2が豊富です。食物繊維はニンジンの4倍以上、ビタミンB2もアセロラやグアバの4倍ほど含んでいます。いんげん豆の仲間には手亡豆のように栽培するとき支えを必要としない豆もありますが、虎豆は手竹を組んで這わせて育てる手間がかりな豆です。よって、コスト的に高級菜豆に分類されています。
虎豆と同じように、もよう入りのいんげん豆の仲間で、紅しぼりや貝豆、緑貝豆、パンダ豆、うずら豆などがあります。生産量が少ない貝豆や緑貝豆、パンダ豆などは希少性が高く、見かける機会も多くはありません。どれも1粒1粒もようの入り方が異なり、眺めているだけで楽しい気持ちにさせてくれますから、どこかで見かけたら入手してみてください。眺めてうれしい、食べておいしい、しあわせな気分も味わえるもよう入り(斑紋種:はんもんしゅ)の豆の代表が、虎豆なのかもしれません。

発芽したばかりの虎豆(写真提供:北海道・石川農場)

手竹を伝って成長する虎豆(写真提供:北海道・石川農場)

莢の中で完熟した虎豆
虎豆を使ったレシピ
虎豆入り洋風ぶた汁
ほくほくの虎豆を豚肉ダシのスープと合わせ、あったかおいしい洋風の豚汁に
材料 約4人分
- 虎豆 茹でたもの1カップ(乾燥は50g)
- 豆の茹で汁 1カップ
- 水 2カップ
- 豚肉 細切れ 100g
- 玉ネギ 1/2個
- ニンジン 1/2本
- ニンニク みじん切り 少々
- オリーブオイル 小さじ1
- 月桂樹(ローリエ) 1枚
- 塩 小さじ1/2くらい
- コショウ 少々
- バジルやパセリなど(乾燥でも可) 少々
作り方
- 虎豆は1晩ほど水に浸してもどしておく。鍋にもどした虎豆と水を入れ、最初は中火から沸騰させ、アクが浮いてきたら丁寧にすくいとる。中弱火にして約30分から40分ほど煮て、ややカタめくらいで火を止める。
- 玉ネギは2センチ角くらいに、ニンジンは小ぶりの乱切りにしておく。
- 鍋に油をひいてニンニクみじん切りを入れ、弱火にかけて香りが立ってきたら玉ネギとニンジンを加え、中火で炒め合わせる。
- 3の鍋に豆の煮汁と水、豚肉を加えて加熱し、豚肉のアクが浮いてきたら丁寧にすくいとる。
- 4に虎豆と塩、月桂樹を加えて10分から15分煮込む。
- 味をみて塩、コショウで調味する。
- 器に注いだら、好みでバジルやパセリを飾って出来上り。
- ※更にボリュームが欲しいときは、小蕪や大根などを加えてください。大根は4〜5の段階で加え、蕪は5の終わりのほうに加えると程よい食感に仕上がります。